健診や人間ドックで実施される臨床検査

健診や人間ドックを有効に活用して、自分の健康をチェックしましょう

長引く不況の影響からか、ストレスや過労で体調を崩したり、メンタル面に不安を抱える人はこの10年で増加しています。また、テレビや雑誌では、バラエティ形式の健康番組や特集が毎日のように組まれているため、病気の予防やその早期発見と治療の重要性が、この数年で多くの人に認識されるようになりました。

検査や治療、医薬品の進歩により、かつては「発病=死」とされてきたがんも早期の発見が可能になり、また治療の選択肢も増えたことから感知するケースも多くなりました。また、糖尿病、高血圧、脂質異常症の生活習慣病も、早い段階から食事と運動療法を組み合わせることにより、日常生活の制約をほとんど受けることなく治療に取り組むことが可能となりました。

健康意識の高まりにより、地域や会社の健康診断や医療機関の人間ドックを利用する人が年々増えています。その一方で、「自分は若いので関係ない」、「仕事が忙しい」、「気になる症状はあるけど、病気を宣告されるのが怖い」などの理由で、なかなか検査を受けようとしない人がいるのも事実です。また、せっかく検査を受けても、正しい検査の知識を持っていなかったために、検査の前日に激しい運動をしていたり、アルコールを摂取していたりして、正しい検査結果を得られていないという人もいるでしょう。

日本国内で約1500万人の患者がいると考えられている生活習慣病ですが、初期の段階では殆ど自覚症状がないのが大きな問題です。生活習慣病を未然に防ぐためには、症状がないうちから血糖値や血圧などの値を把握して自分の健康状態をチェックしておくことが大切です。そのためには、まず健康診断を受け、数値が高い(低い)項目があれば、医師のアドバイスを聞いて改善に取り組むことが第一歩となります。

筒状のレンズやカメラを先端に取り付けた細い管を口や肛門から挿入し、モニターに映し出された胃・十二指腸・大腸などの状態を調べるのが内視鏡検査です。一昔前の内視鏡は管が太かったため、喉元を通る際に激しい違和感を感じ、涙を流しながら「オェッ!!」と咽ていた方も多いと思います。近年の内視鏡は管も細くなったうえ、患者の心身の負担をさらに軽減するため、鼻から入れる経鼻内視鏡の開発・普及も進んできました。

内視鏡は消化器等の検査を行うだけでなく、先端から処置具を取りだすることができるため、例えば、異常部に染色液を噴きかけてマーキングを行ったり、ワイヤーを取り出して小さなポリープを切除したりと治療にも用いられています。また、従来は内視鏡での検査が困難だった小腸の撮影を可能にしたカプセル内視鏡も注目されています。2.5cmくらいのカプセルを飲み、消化管の蠕動運動に合わせてカプセルが小腸内部をゆっくり進んでいく最中に、カプセル内部にあるカメラが小腸の画像を自動的に撮影し、体外にある記憶装置にデータとして送るものです。

病気の有無を発見する目的で、健診などで行われる最も一般的な検査は、静脈から採血して行う血液検査です。採血後の血液を試験管に置いてしばらくすると、赤血球や白血球などの沈殿物と、半透明の上澄みに自然と分かれます。この上澄み部分は血清と呼ばれ、水分をはじめ、酵素、糖質、脂質、タンパク質、老廃物などが含まれています。これらの濃度を調べて、数値に異常がない(=病気がない)かどうかを調べるのが血液性化学検査です。

例えば、肝臓にはアミノ酸を作るALT(GPT)と呼ばれる酵素が多く存在していますが、アルコールの飲みすぎなどで肝細胞が破壊されていると血液中に大量に漏れ出します。検査の際に使用される「基準値」という言葉は、検査を受けた人の95%がその範囲に収まる統計的な分類を示したもので、学会が実際の病気との関連を調べて定めた項目はごく僅かですので、「正常値」という言葉はあまり使用されていません。検査数値は個人差が大きく、検査の時間帯、性差、妊娠による変動などにより、健康な方でも基準値を超えることがよくあります。